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単語はどの情報から暗記するべきか
〜単語の情報の分解〜

単語を1つ覚えるという作業は、いくつかの段階に分けて考えることができます。それらを適切に理解することは、単語暗記の効率を高めたり、モチベーションの維持にもつながります。

 

まず、単語学習には大きく2つのアプローチがあります。「単語の数よりも理解の深さを優先する(狭く深く)」方法と、「理解の深さよりも数を優先する(広く浅く)」方法です。私は初学者に対して、後者、広く浅く学ぶことを推奨しています。その後、何度も復習を重ねる中で徐々に深く理解していくのが、最も効果的だと考えています。

 

まず1つの単語に掲載される典型的な情報を整理し、次に単語を習得していく一般的な段階を示します。最後に、学習者が未知の単語に出会ったとき、まずどのような状態を目指すべきか、そのために何をすべきかを具体的に示します。

 

例えば、dependという単語の場合、以下のような情報が辞書や単語帳に掲載されているのではないでしょうか。

 

(X) 

・つづり: depend    

・発音記号: /dɪpénd/

・品詞: 動詞 ☞ ・意味: 次第である / ...

・例文: Promotion depends on ability.

・派生語: dependent  形容詞: 次第である / ...  dependency 名詞: 依存 / ...

・語源: de(下に)+pend(垂れる)=下に垂れる☞次第である

 

もちろん、これ以外にも類義語、英英辞典での説明、コロケーション、イメージ図などが掲載されることもあります。つまり、たった1語であっても学ぶ情報は非常に多岐にわたるということです。

 

次に、単語習得の基本的な段階について確認しましょう。学習者は「英語から日本語への理解(受容)」が先にできるようになり、次に「日本語から英語への運用(産出)」ができるようになります。これは第二言語習得の一般的な理論でもよく知られている学習順序です。

 

したがって、単語に初めて出会った学習者がまず目指すべきなのは、「つづりを見たり、発音を聞いたりしたときに瞬時に意味が分かる状態」です。

 

このために必要な最低限の情報は、発音・意味(代表的なものを1つ)・品詞(代表的なものを1つ)の3つです。

 

単語の発音はリスニングの土台です。発音を知らなければ、音声として聞き取ることは不可能です。また、意味と品詞は複数ある場合もありますが、最初の段階では1つに絞っても構いません。完璧にしようとして単語の数が中々増えないことの方が問題です。

 

たとえば、次の2つの状態を比較してみましょう。

* (Y) 様々な情報を覚えているが、単語帳の半分しか終わっていない

* (Z) 発音と1つの意味・品詞しか覚えていないが、単語帳全体を一通り覚えている

 

どちらの方が実践的かは明らかです。後者の(Z)の方が、学習効果が高く、学びが進みやすくなります。

 

具体的な訓練方法としては、単語のスペリングを見たら、まず声に出して発音し、その後すぐに意味と品詞を答えることを繰り返してください。

毎日30分以上、1週間サイクルで取り組むのが理想です。単語数の目安は、学習初期は30語程度から始め、高校生になるまでに100語~200語程度に増やしていきましょう。

 

単語学習は、完璧に覚えてから次に進むよりも、何周も繰り返して徐々に精度を高めていく方が圧倒的に効果的です。

 

もちろん、単語学習はこれで終わりではありません。いずれは、複数の意味、型、派生語、使われる文脈、類義語との使い分けといった、より深い知識にも触れていく必要があります。

 

ですが、学習範囲が膨大だからこそ、やみくもに暗記するのではなく、情報を分類し、優先順位をつけながら効率的に学んでいくことが重要なのではないでしょうか。

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