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英語4技能にどのように向き合うべきか

〜技能を磨く段階と現行の大学受験制度の観点から〜

英語4技能にどのように向き合うべきかについて、私の考えを紹介します。

​まず、それぞれの試験で求められる英語4技能は以下の表の通りです。

 
①大学独自入試
②共通テスト
③民間試験 (英検 / TEAP / TOEFL / IELTS)
📖Reading

👂Listening

✍️Writing

×

🗣️Speaking

×

×

表の通り、どのような試験でも避けて通れないのがReadingです。次に求められるのはListening、Writeingとなり、さらに英検などの4技能試験ではSpeakingも評価対象となります。

 

次に、英語4技能の習得の順序について考えてみます。

Title
受容
産出
音声

👂 Listening

✍️Writing
文字

📖 Reading

🗣️Speaking

難易度は   文字 < 音声    受容 < 産出 となりますので、学生は以下の流れで技能を習得していくのが一般的です。

📖Reading

  ↓

👂Listening (読めないことは聞けない)

📖Reading

  ↓

✍️Writing    (読めないことは書けない)

  ↓

🗣 Speaking (書けないことは話せない)

日本語にも当てはまることですが、文章のレベルが同じであると仮定した場合、ReadingやWritingといった文字ベースの技能より、ListeningやSpeakingといった音声ベースの技能の方が一般的に難易度が高いとされています。その理由は、音声の方が時間的な制約が厳しく、一度聞き逃した場合に戻ることができず、また文の流れに逆らって再確認することもほとんどできないからです。読めないレベルの英文を聞いて理解することは基本的に難しく、書けないレベルの英文を口で自然に言えることも稀です。

それにもかかわらず、実際の試験でListeningの点数の方がReadingより高くなることがあります。これはListeningの出題文が相対的に易しいことが多いからです。Speakingの点数がWritingより高くなる場合もありますが、これは採点基準が口頭試験の方が比較的寛容に設定されているからであり、音声での能力が文字での能力より純粋に高いことを意味するわけではありません

 

以上を踏まえると、学習者は少なくともある単語や文法について、まず文字ベースで意味や発音を理解し、英語にできるようになることが必要です。例えば、「extravagant」という単語を耳で聞いて意味を理解できるようになるためには、まず文字を見て発音と意味が結びついている状態を作る必要があります。

筆箱

私はこうした学習順序を重視しているため、授業では基本的に文字ベースの学習を中心に進めています。ただし、これは「ReadingやWritingがある程度完成してからListeningやSpeakingに取り組むべきだ」という意味ではありません。より具体的には、一つ一つの単語、一つ一つの英作文、一つ一つの長文といった小さな単位において、まず文字で意味が分かるようになり、次に音でも理解できるようにしていくべきだということです。

 

だからこそ、どのような学習段階であっても、授業の復習は文字だけでなく音でも行うことを強く推奨しています。例えば、授業で扱った長文はリスニングやシャドーイングを通して聞いても意味が分かるようにすること。英作文は文字で書けるようにするだけでなく、口頭で瞬時に言えるように練習すること。こうした復習をするように指導しています。

 

最終的には、受験制度と技能習得の順序を踏まえた上で、自分に合った英語4技能との向き合い方を見つけていくことが重要です。例えば、中学生の段階でReadingだけに絞るのは非常にもったいないです。一方で、他教科の勉強にも時間が必要で、成績に余裕のない高3生が4技能受験を目指すのは現実的とは言えない場合もあります。

 

このように、英語4技能への向き合い方は、その人の学年、英語力、他教科の状況によって適切な判断が変わる複雑な問題です。何を優先すべきか迷ったときは、ぜひ気軽にご相談ください。

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