グラマティクス英語塾
Grammaticus English Academy
指導方針
私は、英語の文法事項を以下の3つの分類に分けて指導しています。
①ルール: 最小のルールで最大の説明を目指す
よく見かける説明の例……
「be動詞の否定文は、be動詞の後にnotをつける」
🔍問題点
ルールが適応される範囲が指定されていません。「現在形の」という但し書きがないままこのルールを覚えてしまうと、別の単元で次のような誤りを引き起こすことがあります。
文法項目 | 誤答例 | 正しい文 | 正しいルール |
---|---|---|---|
現在完了形の否定 | You have been not ~ | You have(現在形) not been ~. | 現在形 + not |
命令文の否定 | Be not noisy. | Don’t be noisy. | 命令文の否定は don't + 動詞原形 |
🔍問題点
ルールが過度に簡素化され、間違った予測に対する考慮がない
☞基本的なルールにおいて曖昧さを残すことは、ルールへの不信感に繋がります。
💡当塾の説明の工夫
・現在形の否定文 ※ 命令文の否定は do原形n't + 動詞原形
基本ルール: 現在形 + not。一般動詞の現在形の時のみ、{don't / doesn't} + 動詞原形
☞このように整理することで、上記の曖昧さの問題点も解消され、現在形に関する文の理解全般が効率化されます。 "否定文の作り方" を単元ごとに覚える必要はありません。
✔︎例
(1) 【現在進行形】私は今、英語を勉強していません。
I am not studying English now.
(2) 【現在完了進行形】私は昨日からずっとメールを確認していません。
I have not been checking my e-mail since yesterday.
(3) 【助動詞の現在形】私は英語を話せません。
I cannot speak English.
(4) 【受動態①】そのアニメは世界中で放送されているわけではありません。
The anime is not broadcast all over the world.
(5) 【受動態②】そのアニメはここでは見ることができません。
The anime cannot be watched here.
もちろん、英語はすべてルールで絶対的に説明できるわけではありません。私の方針は「すべてをルールで説明すべき」ではなく、「説明できる場合は、曖昧さを避けてルールを最小化すべき」ということです。
② コアイメージ: 万能ではないが核は捉えている話とうまく付き合う
曖昧にしてしまっていることが最も多いのは、このケースです。
中学生が特に躓きやすいものの1つに、前置詞があります。たとえば前置詞 at のイメージをいくつかの例文で理解したとしても、それだけで新しい用法すべてを正しく予測できるわけではありません。
ポイントは、「大量の具体的な英文に触れながら、コアイメージをより洗練させていく」学びの過程が必要であることを伝えることです。
「イメージで解決できるから暗記がいらない」も、「イメージなんて意味がないから暗記する」も、どちらも極端な考え方であると考えています。
③ 例外: 全てのことに理由を求めない
ルールでもコアイメージでも解決しきれない場合、方針は基本的にはシンプルです。覚えるしかありません。
✔︎例 日本語と品詞的な発想で異なる文
(1) ジョンは走るのが速い。 John runs fast. (=直訳: ジョンは(習慣的に)速く走る)
この違いをどう説明するかは、生徒の理解を助けるかどうかを基準に判断すべきと考えています。
今回でいえば、以下のように{quick / quickly} のように単語を変えるだけで、自然な言い回しに変わる場合があるという事実を踏まえ、本質的な理由づけは基本的に存在しないと考えています。
(1) ジョンは走るのが速い。
日本語的 a. John is fast形容詞 at running. △ ※ John is fast. は⭕️
b. John runs fast副詞. ⭕️自然
(2) ジョンは数学の問題を解くのが速い。
日本語的 a. John is quick形容詞 at solving math problems. ⭕️自然
b. John solves math problems quickly副詞. ⭕️自然
"全ての事象に理由があるわけではない" という事実は、英語学習をする上で重要であると考えています。
教育に関する考え方については、コラム・考え方のページにもまとめておりますので、よろしければそちらもご一読ください。